桜島と黒豚と芋焼酎に酔う ― 心ほぐれる鹿児島二泊三日の旅

こんにちは!Tomです。
今回は南九州の玄関口、鹿児島を二泊三日で旅してきました。

桜島の雄大な姿、西郷隆盛ゆかりの史跡、そして黒豚や芋焼酎、白熊などの独特な食文化。鹿児島は、自然・歴史・食が三位一体となった町です。

夜に空港に降り立った瞬間から、思わぬ「足湯」に迎えられて驚き、地元で愛される深海魚料理に舌鼓を打ちました。翌日は天文館の街を歩き、黒豚カツや桜島の絶景を堪能し、西郷隆盛ゆかりの地で歴史を肌で感じました。夜は芋焼酎片手に地元料理を楽しみ、旅人同士の会話に花が咲く。最終日には鹿児島名物のかき氷「白熊」でひんやりと締めくくり。

二泊三日ながら心のアルバムがぎゅっと詰まった旅でした。ここからはその記録を時系列に沿って紹介していきます。


一日目 空港の足湯と深海魚に驚く夜

鹿児島空港に降り立つ

夜、鹿児島空港に到着。ロビーから外に出ると、なんと足湯が!国内空港初の天然温泉足湯だそうで、空港に温泉があるなんて驚きました。鹿児島弁で「お疲れさま」「ご苦労様」を意味する「おやっとさぁ」という名前の足湯です。

あいにく飛行機の到着時間が遅れ営業時間外で入れませんでしたが、移動の疲れを癒すにはぴったりです。

空港からは空港リムジンバスで鹿児島市内へ移動。所要時間は約40分ほどで、事前予約は不要です。

深海魚料理「目からうろこ」

市内に到着しホテルに荷物を置いてまず向かったのは、深海魚料理で知られる「目からうろこ」。店内は活気にあふれ、地元の人と観光客が肩を並べていました。

ここでいただいたのは「いも焼酎 萬膳 黒麹」の前割り。焼酎をあらかじめ水で割って寝かせることで、角が取れてまろやかな味わいになります。ひと口飲むと柔らかい甘みと香ばしい余韻が広がり、すっと体に馴染んでいきました。

このお店では鹿児島の深海魚料理がオススメ。料理はキビナゴの南蛮漬けとメヒカリの唐揚げ。キビナゴは酸味のあるタレと小魚特有の旨味が相性抜群。メヒカリは外はカリッと、中はふっくらしていて、噛むたびに海の香りが広がります。

気さくな店員さんとの会話も楽しく、隣の席にいた大阪から旅行に来ていたお客さんは「今日初めて来たけど気に入りすぎて、すぐに次の予約も入れた」と笑っていました。鹿児島の夜は、最初から温かさと驚きに満ちていました。


二日目 天文館と桜島、そして西郷隆盛をめぐる

天文館を歩く

朝は市街地の中心「天文館」へ。江戸時代に設けられた天体観測所に由来する名前を持ち、今では鹿児島最大の繁華街です。アーケードにはカフェや郷土料理の店が並び、地元の人の日常と観光客の活気が交わる場所になっています。

途中で目にしたのは、大久保利通の銅像。西郷隆盛とともに明治維新を牽引した人物ですが、その穏やかな表情は、今の鹿児島の街を静かに見守っているようでした。

黒豚とんかつ「あぢもり」

昼食は鹿児島黒豚の名店「あぢもり」へ。注文したのは「黒豚スペシャルミックスかつセット」。ロース、ヒレ、バラを一度に堪能できる贅沢なメニューです。

ロースは衣のサクサク感の後に、甘く上品な脂がじゅわっと広がり、後味は驚くほど軽やか。ヒレはしっとりと柔らかく、肉の旨味がダイレクトに伝わります。バラは脂の香ばしさと旨味が際立ち、噛むほどに黒豚の個性を感じました。

三種類それぞれが違う表情を見せつつ、どれも「鹿児島黒豚の真髄」を味わわせてくれる完成度。正直この一皿だけで旅の価値があるとさえ思わせるほどでした。

フェリーで桜島へ

午後は鹿児島港から桜島フェリーに乗船しました。所要時間はわずか15分ですが、デッキに出ると風が心地よく、徐々に近づいてくる桜島の雄姿に胸が高鳴ります。青い海を切り裂くように進む船の向こうで、黒々とした火山の斜面が広がり、「これからあの大地を歩くのか」と思うと冒険に出る子どものような気持ちになりました。

車でいく方は、車ごとフェリーに乗船することができます。

桜島はぐるりと一周するとおよそ36km。車なら1時間ほどで回れる距離ですが、火山活動によって形成された多彩な風景が次々と現れます。海岸線には溶岩原が広がり、途中には黒神埋没鳥居や有村溶岩展望所、古里温泉など見どころが点在。火山と共存する島の暮らしを垣間見ることができるのが魅力です。

周遊バスでスポット巡り

観光には「サクラジマアイランドビュー」という周遊バスを利用しました。1日乗車券を購入すれば、主要な観光スポットをぐるっと巡れる便利なバスです。およそ1時間で島の西側の主要なポイントを回り、展望台やビュースポットで下車観光ができる仕組み。車を持たない旅行者にも優しいサービスで、乗客の多くが観光客でした。車窓から見える景色を眺めながら移動するだけでも、桜島の壮大さを実感できます。

村山陶芸 ― 溶岩の息吹を宿す器

途中で立ち寄ったのが「村山陶芸」。ここでは桜島の火山灰や溶岩を混ぜ込んで焼き上げる独自の“溶岩焼き”の器に出会いました。黒と赤が入り混じった独特の風合いは、自然の力をそのまま閉じ込めたような表情を持っています。最初はひっそりとした店構えに少し不安になりましたが、「こんにちは」と声をかけると奥から店員さんが笑顔で登場。じっくりと説明してくれました。購入した溶岩焼きのお皿は、普段の食卓に並べると料理を力強く引き立て、今も旅の余韻を思い出させてくれます。

自然の脅威と美

道中にバスから見えた「水無川」は、過去の大規模な噴火で発生した土石流によって川の水が失われた場所。現在は乾いた川底だけが残り、大きな岩がゴロゴロと転がっていました。自然の力がどれほどの影響を人々の生活に与えるかを静かに語っていました。

そして桜島のハイライトは「湯之平展望所」。標高373メートル、一般人が立ち入れる桜島の最高地点です。目の前に迫る溶岩の岩肌はまるで生き物のようにうねり、今も呼吸しているかのような迫力。眼下には鹿児島市街と錦江湾が一望でき、「ここにしかない風景」に言葉を失いました。

西郷隆盛ゆかりの地を巡る

夕方からは、今回の旅の核心、西郷隆盛ゆかりの地巡りへ。

まずは「西郷隆盛終焉の地」。西南戦争の最期に彼が自刃した場所で、碑の前に立つと歴史の重みが胸に迫ります。

次に歩いた「歴史と文化の道」には、銃弾痕が残る石段が今も残っていました。石段が生々しくめり込んでおり、当時の戦の激しさを感じました。観光として訪れる自分と、命を懸けて戦った人々。その距離を思うと、自然と背筋が伸びます。

「鹿児島城跡」を抜け、「黎明館」で幕末から明治の歴史を学びました。教育や郷中(ごじゅう)と呼ばれる学習制度が、薩摩から多くの偉人を輩出した理由の一つだと知り、納得しました。

最後は「西郷隆盛像」。堂々とした立ち姿に、観光客も地元の人も思わず見上げていました。「敬天愛人」という言葉と共に、彼の精神が今も鹿児島に生きていると感じました。

夜の味わい ― 薩摩旬菜厨房 且坐(しゃざ)とラーメン小金太

夕食は「薩摩旬菜厨房 且坐(しゃざ)」へ。ここでいただいた「加世田の小松帯刀」という芋焼酎は、穏やかな甘みと深い香りが心を和ませます。知覧地鶏のたたきは噛むほどに旨味が広がり、地魚のさつま揚げはふんわりと優しい甘さ。焼酎と料理の組み合わせは、鹿児島の夜をより豊かに彩ってくれました。

締めは「ラーメン小金太」。夜の街に長蛇の列ができる人気店ですが、私の口には少し合わなかったかもしれません。

けれど隣に座った人に話しかけると一人旅をしている旅人でした。お互いに鹿児島旅行の感想やオススメを語り合いながらすするラーメンは、味以上に心に残る体験になりました。こうした偶然の出会いも旅の醍醐味ですね!


三日目 白熊でひんやり締める

最終日の締めくくりに向かったのは、天文館の名物「天文館むじゃき」。白熊発祥の店として知られ、観光客も地元の人もこぞって訪れる人気スポットです。店の前に到着すると、すでに大行列。ここで並ぶ気力はなく、今回はテイクアウトで購入することにしました。

白熊といえば、テレビや雑誌で紹介される際は「ふわふわのかき氷」のイメージが強いですよね。ところがテイクアウトで受け取った白熊は、想像していたよりもしっかり固められた氷で、スプーンを入れるとカチカチと音を立てるほど。

氷の上には練乳が惜しみなくかかり、彩り豊かなフルーツや寒天、小豆がぎっしりトッピングされています。固い氷だからこそ、時間が経ってもすぐに溶けず、最後まで冷たさとボリュームを保ってくれました。暑い鹿児島の街を歩いた後に食べる白熊は、まさに身体の芯からクールダウンさせてくれる救世主のよう。

一見シンプルなかき氷に見えても、口に運ぶたびに「練乳の濃厚さ」「果物の酸味」「小豆の優しい甘さ」が少しずつ変化していき、食べ進めるのが楽しくなります。丼サイズの大きさに圧倒されながらも、気づけばスプーンが止まらない。これが鹿児島の人たちに長年愛され続けている理由なんだろうと思いました。

▶︎天文館むじゃきの公式ホームページにカップ入りの白熊のおいしい食べ方が書いてあります。

“お召し上がりの10~20分ほど前に冷凍庫から食卓に出して自然解凍するか、電子レンジ(500W)で大白熊なら1分以内、ベビー白熊なら20秒以内でやわらかくなります。上下に混ぜながらいただくと、尚一層おいしく召し上がれます。”

出所:https://mujyaki.co.jp/cms/ques/detail/ques_id/6

おすすめお土産&スイーツ

  • 黒豚の焼豚:鹿児島名物といえばこれ。「あぢもり」のお持ち帰り品も人気。
  • かるかん饅頭:山芋のふわふわ生地+餡で優しい味。
  • 地元焼酎:萬膳・小松帯刀など、味と物語が詰まった一本として。

まとめ ― 芋焼酎と歴史に酔う旅

鹿児島の旅は、自然の美しさ、歴史の重み、そして食の深みが全部揃った旅でした。とくに西郷ゆかりの地巡りでは「歴史は今も生きている」と実感できる瞬間がありました。焼酎の一杯ひと口に、鹿児島の時間や文化が込められているようにも感じました。

帰りの飛行機で心に浮かんだのは、「次は焼酎蔵巡りをしてみたい」という思い。鹿児島には、旅人をまた呼び寄せる力がある。それを実感した三日間でした。

それでは、また次の旅で!

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